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土地活用の種類と特徴
個々の財産状況や土地の特徴によって方法を選択
一口に「土地活用」と言っても、さまざまな種類があります。それぞれ収益性も違い、リスクも異なります。 したがって、短期間のうちに多額の現金を得たい場合と、長期的に安定的な収入を得たい場合では採るべき活用方法は当然変わります。活用方法によっては、多額の借入を起こす必要があるものもありますが、それに耐えうる財産状況でなければ採るべきではありません。 また、それぞれの活用方法には、土地の立地条件や周辺環境によって「向き不向き」もあります。 現在の財産状況(土地以外も含む)から今、対応すべき課題を明確化し、同時に、活用する土地の特徴を見極めた上で、最適な活用方法を選択することが大切です。
土地売却について
土地を売却して現金化する
「持ち続ける」ことに価値はない
「土地神話」が崩壊し、土地の資産性が下がっています。逆に保有していても値段が下がり続ける可能性もあります。
一方で、土地を持っていることだけで発生する「負担」もあります。固定資産税や都市計画税、将来的には相続税の可能性もあります。
土地は「持っている」だけでは資産とはなりません。むしろ負担となる可能性すらあります。活用が難しいと思えば、売却して現金化し、その現金の使途をあらためて検討する姿勢も必要になります。その意味で、「売却」も立派な活用法の一つです。
納得の価格で円滑な売却を
大切に守ってきた土地ですので、適正な価格で売却したいと考えられるのは当然です。また、あまり時間をかけずに売却したいという思いも多くの方が持っていらっしゃいます。
こうした要望を実現するためには、不動産会社と以下のようなプロセスで売却を進めます。
売却プロセス
- 調査
- 不動産会社は現地調査の他、周辺環境や法令上の制限などを調査します。
- 価格査定
- 不動産会社は近隣相場や周辺の取引事例、土地の形状、さらには需給動向も加味して、査定価格を提示します。
- 媒介契約締結
- 不動産会社と、不動産売却の媒介契約を締結します。 媒介契約には以下の3種類があります。
- 専属専任媒介契約:
- 特定の1社だけに売却を依頼する契約です。他の不動産会社に重ねて依頼することはできません。
売主自身が買主を見つけてきた場合も、依頼した不動産会社を通じて契約することになります。
この契約を結んだ場合、業者は指定流通機構(レインズ)に物件情報を登録する義務が生じます。
- 専任媒介契約:
- 専属専任媒介契約と同様、特定の1社のみに依頼する契約です。業者はレインズに登録する義務がある点も共通です。
ただし、売主自身が買主を探し、契約することも可能です。
- 一般媒介契約:
- 複数の不動産会社に依頼でき、自ら買主と契約することも可能です。不動産会社側には特段の義務は生じません。
- 売却活動
- 不動産会社の営業活動により、買主を探します。 土地の規模が大きく、買主が法人(デベロッパー等含む)に限定される場合、入札が行われる場合もあります。
- 売買条件の交渉
- 売買価格、引き渡し時期などについて、売主・買主双方の条件をすりあわせ、合意に至れば、売買契約を締結します。
- 売買契約
- 必要書類を整え、正式契約します。この時、買主より手付金が支払われます。
- 代金決済・引渡し
- 残代金の授受に加え、登記手続などを行います。
土地売却のメリット・デメリット
土地売却のメリットとは?
現金化により、資産の「組み替え」が可能に
売却で得た資金を有効に使えば、その後の収入や支出の改善につなげることができます。
- ■借入の返済
- 生活環境を変えないで利用できます。法人の方は事業に支障なく営業ができ、取引先や顧客の信用を失う事がありません。
- ■金融資産の購入
- 株式や外貨建て資産の購入で、ポートフォリオ全体での収益を高めることも可能です。
- ■他の不動産の購入
- 売却で得た資金で、「今までよりも立地のいい不動産を買う」ことも可能です。
「子供が独立したので、多少狭くなっても構わないから都心近くに住みたい」あるいは
「自己資金を加えて同じ広さの土地を都心近くに買いたい」
「立地のいい土地を買って、収益性の高い活用をしたい」といったことが実現できます。
税負担の軽減
土地を保有していることでかかってくる税金を軽減できます。
- ■固定資産税・都市計画税
- 土地を手離しますので、固定資産税や都市計画税の負担はなくなります。
- ■相続税の納税資金確保
- 売却収入により、相続が発生した場合の「納税資金」を確保することができます。
もっとも、売却収入も相続財産ですので、相続税そのものは増えますが、納税の「しやすさ」は大幅に高まります。
土地売却のデメリットとは?
収益機会の喪失
土地を手離しますので、当然ながら、今後その土地から得られる収益はありません。
売却収入のすべてが手取り現金とはならない
土地が仮に1億円で売れても、1億円の現金がそのまま入るわけではありません。
他の資産への組み替えを検討している場合は注意が必要です。
- ■譲渡費用の発生
- 売却にあたっては、
- ・印紙税
- ・測量費
- ・仲介手数料
- といった費用が発生します。 これらの合計額は、売却代金の5%程度に達することもありえます。
譲渡税の発生
売却によって得られた「もうけ」の部分(譲渡益)に対して、「譲渡税」として、所得税・住民税がかかります。
- 計算方法や税率は、
- ・売却する土地の所有期間
- ・売却する土地の使用目的
- などで変わってきます。
なお、「他の不動産に買い換える」場合は「買換え特例」によって税額が大きく下がることもあります。
譲渡税について
土地売却の際にかかる譲渡税 その1
譲渡税は「もうけ」部分にかかる
譲渡税は、売却による「もうけ」部分、すなわち「売った値段から買った値段(取得費)を引いた額」に対してかかります。また、仲介手数料や測量費などの「譲渡費用」も差し引きます。この金額が「もうけ」すなわち「譲渡益」となります。 なお、「買った値段がわからない」というケースも実務上は多いですが、その場合は「売却額の5%」を取得費とすることができます(概算取得費)。
短期所有での譲渡には高い税率
所有期間5年以下で売却した場合、税率は39%(所得税30%、住民税9%)という高い税率が課せられます。投機的な土地売買を抑制するための措置でこのようになっています。 なお、「所有期間」とは、「その年の1月1日時点での」所有期間です。したがって、平成13年5月に取得した土地を平成18年10月に売った場合でも、「5年以下での譲渡」となります。
10年以上所有の居住用財産には軽減税率も
所有期間5年超での譲渡に対しては、税率は20%(所得税15%、住民税5%)になります。 ただし、10年以上住んでいた居住用財産(自宅土地)を売った場合は、税率は14%(所得税10%、住民税4%)に軽減されます。
居住用財産は「3000万円控除」可
自宅のような居住用財産の場合、譲渡益から3000万円を差し引いた金額に対して課税が行われます。譲渡益が3000万円以下であれば、税金がかからないことになります。 なお、この特例は所有期間5年以下であっても適用できます。
居住の有無 | 所有期間 短期 | 所有期間 長期 | |
---|---|---|---|
5年以下 | 5年超10年以下 | 10年超 | |
非居住用 | 短期譲渡所得 税率39% (所得税30%、住民税9%) |
長期譲渡所得 税率20% (所得税15%、住民税5%) |
|
居住用 | 短期譲渡所得 ※3,000万円特別控除あり 税率39% (所得税30%、住民税9%) |
長期譲渡所得 ※3,000万円特別控除あり 税率20% (所得税15%、住民税5%) |
長期譲渡所得 ※3,000万円特別控除あり 譲渡所得6000万円までは税率14% (所得税10%、住民税4%) 譲渡所得6000万円超は税率20% (所得税15%、住民税5%) |
土地売却の際にかかる譲渡税 その2「買換え特例」
買換えの場合は譲渡税の「繰り延べ」あり
買ったときより値上がりしている不動産を売った場合、譲渡税がかかるので、売却代金のすべてを充当して新たな不動産を取得することはできないことになります。
しかしそれでは、新たに取得する物件は「これまでより価格が低いもの」とならざるを得ません。それは不合理なので、一定の要件を満たせば、買換えの場合の譲渡税を抑える特例があります。
特例の中身を簡単に言えば、「売却代金のうち、買換えに充てた割合に応じて譲渡所得を低くする制度」です。
例えば、300円で買ったものを1000円で売り、900円のものに買い換えた場合は、譲渡益700円の「90%」(900÷1000)が課税所得から控除されます。買い換えた資産が1000円以上であれば、譲渡所得の全額が控除されることになります(税額はゼロ)。
居住用の買換えの場合は全額繰り延べ可
「買換え特例」には、「居住用財産の買換え特例」と「事業用財産の買換え特例」の2種類があります。
「居住用財産の買換え特例」は、自宅を売って、別の場所で自宅を買い換えた場合などに適用されます。
この場合、買い換えた資産の価格が売却収入を上回っていれば税額はゼロになります。
「事業用資産の買換え特例」は、店舗を売って引っ越した場合などに適用されます。
「居住用財産の買換え特例」に比べ、やや厳しくなります。
まず、「譲渡益のうち、控除される割合」を計算する際、買換え資産の購入価格を8掛けして計算します。300円で買ったものを1000円で売り、900円のものに買い換えた場合は、控除されるのは譲渡益700円の「72%」(900×0.8÷1000)となります。また、買い換えた資産が1000円以上であっても1000円として計算します。上記「8掛け」もありますので、たとえ1100円のものに買い換えた場合、控除されるのは 1000×0.8÷1000 で80% ということになります。
したがって、税額が「ゼロ」ということはありえません。
買換え特例を使った場合の譲渡税
土地売却の際にかかる譲渡税 その3
次回売却時の譲渡税が増える
買換え特例を使った場合、「取得費」は、「旧財産を引き継ぐ」ことになります。
300円で買ったものを1000円で売り、それを900円で買い換え、その資産を後に800円で売った場合を考えてみます。
普通は「900円で買ったものを800円で売ったのだから税金はかからない」と考えられますが、買換え資産は旧財産の取得費300円を引き継ぎますので、「300円で買ったものを800円で売った」ことになり、譲渡税がかかってしまうのです。
結局のところ、買換え特例は「今回の売却による譲渡税を少なくし、次回の売却時に回す」という意味合いのものと言えます。
譲渡税の「減免」ではなく「繰り延べ」という表記がされるのはこのためです。