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土地活用の種類と特徴
定期借地(一時金方式)について
定期借地方式で安心の地代収入
確実に土地が戻ってくる借地契約
定期借地権は、平成4年8月1日新借地借家法により施行されたものです。旧来の借地権(普通借地権)では、借地人の権利が過剰に保護され、地主が借地人を立ち退かせるためにさまざまな制約がありました。一般的には、「土地を貸したら半永久的に返ってこない」とさえ言われています。
そのため、土地を「貸す」形での土地活用には地主側も抵抗がありましたが、この法律制定により、安心して土地を貸せるようになりました。
定期借地権方式の特徴として、以下のことがあります。
・50年後には、必ず土地が戻ってくる。
・借主の事情により、期間延長がされることもありません。
・立退き料を支払ったり、建物を買い取ったりする必要はありません。
・契約の更新もありません。
土地を保有したままでの分譲が可能に
- ■定期借地分譲とは
- 定期借地権を使った、新しい形の分譲住宅、「定期借地分譲」が増えています。
お持ちの土地の造成や区画整理を事業者が行い、建物を建てて販売(分譲)します。
通常の分譲の場合、購入者は建物と土地(マンションなどの場合は共有持分)を取得します。結果、売主である地主様は土地の所有権を失うわけですが、定期借地分譲の場合、購入者が得るのは建物の所有権と、「土地を借りて使う権利(借地権)」です。その借地権は50年後に必ず消滅しますので、地主様は土地を保有したまま住宅の分譲ができることになります。
購入者側にとっても、土地を購入しない分、通常の分譲に比べて安く済みます。いずれ返還しなければならないとは言っても50年間ですので、「永住」とそれほど変わらない形で、安く住宅が取得できることになります。
- ■マンションと戸建の2パターン
- 一般の分譲住宅と同様、定期借地分譲にも「マンション」と「戸建」があります。 定期借地権付戸建分譲は、広い土地をお持ちの方に向いている方法で、土地を複数の宅地に区画整理し、水道などのインフラを整えつつ、住宅を建築します。
一時金方式でまとまった資金の確保
土地を貸すわけですから、収益源は「地代」となります。通常、地代は月ごと・年ごとに分けて受け取りますが、一時金方式の場合、定期借地権設定時に一括して受け取ることができますので、まとまった資金が確保できます。
なお、税務上は、受け取った年だけの収入・所得ではなく、土地を貸す期間に按分して計上することが認められています。
定期借地(一時金方式)のメリット・デメリット
定期借地方式のメリットとは?
税制上の優遇措置
固定資産税や相続税において、優遇措置が受けられます。
- ■固定資産税は6分の1
- マンションであっても戸建であっても「住宅用地」ですので、固定資産税や都市計画税の軽減があります。東京都の場合、土地の課税標準が更地や駐車場と比べ6分の1になります。建物部分についても、新築の場合、一定の軽減措置が採られています。
- ■相続税対策:節税効果
- 貸している土地は、相続税評価において「貸宅地」とされ、更地の場合と比べ大幅に評価が下がります。
ただし、「半永久的に返ってこない」可能性のある「普通借地」に比べれば、減額幅は小さくなりますし、返還時期が近づくにつれ、減額幅は徐々に縮小されていきます。 それでも、定期借地権設定当初は更地状態と比較して4割程度の評価減が可能で、対策としては有効です。
一般定期借地権が設定された土地の相続税評価額の計算
路線価図における地域区分 | 普通借地の場合の底地割合 | 一般定期借地権が設定された時点の底地割合(X) |
---|---|---|
C地域 | 30% | 55% |
D地域 | 40% | 60% |
E地域 | 50% | 65% |
F地域 | 60% | 70% |
G地域 | 70% | 75% |
- ■相続税対策:納税資金確保
- 「一時金方式」によってまとまった資金が得られれば、相続が発生した場合の「納税資金」が確保できます。受け取った地代も相続財産ですので、相続税そのものは増えますが、納税の「しやすさ」は大幅に高まります。
- ■相続税対策:物納の確実性
- 相続税の納税において、土地を物納したい場合であっても、貸している土地は、「物納申請」がおりないことが多いです。 しかし定期借地の場合、いずれ更地に戻ることが確実なこともあり、物納が認可される可能性が高いです。
借入によるリスク負担は不要
建物を貸すのではなく、土地を貸すのですから、建物建築における地主様の負担はありません。建物を建てるのは借地人です。
したがって、追加的に資金を拠出することなく、地代収入を得ることができます。
優良な資産を残せる
定期借地契約が終了した際は、更地が戻ってきますので、その後は自由に活用できます。
定期借地権付マンションの場合は、更地とせず、リフォームして引き続き賃貸することも可能です。定期借地権付戸建分譲の場合は、区画整理され、インフラが整った土地が手に入りますので、その後の活用もしやすくなります。
定期借地契約が終了するのは50年後と、相当先になりますが、次世代に優良な資産を残せる可能性が広がります。
定期借地方式のデメリットとは?
転用が長期間不可能に
定期借地契約は、基本的に中途解約ができません。したがって、50年の間、土地の用途が限定されることになります。
収益性は高くない
定期借地方式における収入源は「地代」です。地代は、建物を貸した場合の「賃料」に比べ大幅に少なくなります。したがって、土地の利用可能性から見て割安な収入しか得られない可能性もあります。
他の活用法との比較検討を十分にしておく必要があります。